華厳経が説く「縁起」の教えは、全ての存在が互いに関係し合い、独立した存在がないことを示しています。一枚の葉の成長を考えると、土、水、太陽、空気、木、その木を支える根や大地が不可欠です。それだけでなく、それらを生み出した宇宙の営みまでもが関与しています。こうした繋がりは、私たち人間にも当てはまります。私たちが「今、ここ」に存在するのは、家族や友人、社会、自然環境、さらには過去から続く無数の命と行いによる恩恵です。
この視点を持つと、自分一人の力だけで生きているという錯覚が崩れ、「私のもの」「私だけ」といった執着から解放されます。これは「無我」の教えに通じるものです。無我とは、「私」という独立した固定的な存在がなく、全てが縁起によって成り立っていることを意味します。この理解が深まると、自他の区別が薄れ、他者や環境を思いやる心が自然と育まれます。
また、縁起の法則に基づけば、他者を大切にし、自らの行動を整えることが、自分自身の幸せにも繋がることが分かります。この繋がりの中で、自分の役割を自覚し、周囲に感謝しつつ調和を目指して生きることが、真の平和と安らぎをもたらす道です。「すべては繋がっている」という気づきが、私たちの生き方を根本から変え、より豊かな人生へと導いてくれるのです。合掌🙏