
今、この瞬間に心を向け、目の前のご縁を大切に生きることです。
一念三千(いちねんさんぜん)
人は生きる中で、過去の後悔や未来の不安にとらわれがちです。「あの時、ああしていれば…」と悔やんだり、「これから先どうなるのか」と心配したり。しかし、過去はすでに終わったことであり、未来はまだ訪れていません。どれほど悩んでも、変えることはできないのです。
仏教には「一念三千(いちねんさんぜん)」という教えがあります。たった一つの念(おもい)の中に、三千の世界がすべて収まっているという意味です。この一瞬一瞬の中に、私たちの人生も、この世界のすべても含まれているのです。
だからこそ、私たちが本当に生きるべき場所は「今、ここ」しかありません。今、この瞬間に心を向け、目の前のご縁を大切に生きること。それが、仏さまの願いに応える生き方なのです。誰かの笑顔に気づき、今ある命のありがたさに感謝する。そうした小さな積み重ねこそが、人生を豊かにし、幸せへと導いてくれます。
本当の幸せは、遠くにあるものではなく、今ここにあるものに気づくことから始まります。今日という一日を大切に生きる。その一歩一歩が、きっと人生を照らす光となるでしょう。合掌🙏
三千について
「一念三千(いちねんさんぜん)」の「三千」は、まさに 小千世界・中千世界・大千世界 を指しています。
簡単に説明すると――
▼ 小千世界(しょうせんせかい)
一つの世界(須弥山・四大洲など)が千個集まった世界
▼ 中千世界(ちゅうせんせかい)
その小千世界がさらに千集まった世界(=小千 × 1000)
▼ 大千世界(だいせんせかい)
中千世界がさらに千集まった世界(=中千 × 1000)
つまり、大千世界は 10億の単位 にもなる広大な世界観を表しています。
『法華経』などに説かれるこの壮大な宇宙観を、「一念」つまり私たちの 一瞬の心の働き にすべて含まれていると説いたのが「一念三千」です。
これは天台智顗(てんだいちぎ)大師が説いた教えで、「今ここに、すべての世界がある」と気づかせてくれる大切な考え方ですね。
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
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