
他の誰かになる必要はありません。この私の人生を、この私として生きる。
すでに与えられている幸せ
私たちは日々の暮らしの中で、知らず知らずのうちに他人と自分を比べてしまいます。
あの人は順調そう、自分は遅れているのではないか。そんな思いが浮かぶと、心は落ち着きを失い、不安や焦りに包まれてしまいます。
「隣の芝生は青い」という言葉があるように、人の幸せは実際以上に輝いて見えるものです。しかし仏教では、「足るを知る」ことの大切さが説かれています。
今あるもの、今生かされている事実に目を向けると、すでに多くの恵みの中に私たちは立っていることに気づかされます。
比べることで生まれる苦しみは、外の世界から来るのではなく、自分の心の働きから生じているのです。
阿弥陀さまは、能力の高い人や立派な人だけを救われる仏さまではありません。迷い、悩み、弱さを抱えたままの私たちを、そのまま包み取ってくださる存在です。
だからこそ、他人の人生と比べて自分を責める必要はないのです。大切なのは、「今の自分」にできることを一つひとつ重ねていくこと。
小さな思いやり、感謝の言葉、今日一日を丁寧に生きようとする心・・・それこそが善となり、やがて自分自身を支える力となっていきます。
比べる心をそっと手放したとき、初めて見えてくる世界があります。
それは、すでに与えられている命の尊さと、安心に満ちた今この瞬間。
他の誰かになる必要はありません。この私の人生を、この私として生きる。そこにこそ、仏さまの教えが静かに息づいているのです。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は初盆法要や盂蘭盆会のご縁でもお伝えすることがあります。
故人が亡くなられて初めて迎えるお盆を「初盆」といいます。
毎年ご先祖様を偲び、感謝を伝える大切な行事が「盂蘭盆会」です。
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