
「今、目の前にあるもの(色)」を大切にしながら、「すべては変化し、実体のないもの(空)」であることを忘れずにいることが大切です。
色即是空 空即是色
「色即是空、空即是色」→→般若心経に説かれるこの言葉は、私たちの生きる世界の本質を示しています。形あるもの(色)は、しっかり存在しているように見えて、実は縁によって成り立ち、常に変化し続けるもの。一方、実体のない空(くう)も、何もないという意味ではなく、あらゆるものの本質であり、色と切り離せない関係にあります。
例えば、人との出会いも「色」として現れますが、それは永遠ではなく、縁によって変化していくものです。同時に、目に見えない「空」の部分【相手への思いやりや信頼など】があるからこそ、その関係が深まっていきます。私たちの人生は、この「色」と「空」が交わる世界の中で成り立っているのです。
仏教では、どちらか一方に執着することなく、両方を受け入れることが大切だと説かれています。物質的なものに執着しすぎると、変化することへの不安や苦しみに囚われてしまう。一方で、「空」だけを求めて現実を否定してしまうと、今ここに生きる意味を見失ってしまうでしょう。だからこそ、私たちは「色」も「空」も共に受け入れ、日常生活の中でバランスを取ることが求められています。
お念仏を称えることも、この「色」と「空」の調和を感じる一つの方法です。声に出して称える「南無阿弥陀仏」というお念仏は「色」として現れますが、その響きの中に、阿弥陀仏の無限の慈悲という「空」の世界が広がっています。お念仏を称えるたびに、私たちは形のある世界に生きながら、同時に形を超えた仏の大きな慈悲に抱かれていることを実感するのです。
日々の生活の中でも、「今、目の前にあるもの(色)」を大切にしながら、「すべては変化し、実体のないもの(空)」であることを忘れずにいると、物事への執着や悩みから少しずつ解放されていくでしょう。色と空の真理を感じながら、穏やかな心で日々を過ごしていきたいですね。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は四十九日法要のご縁でもお伝えすることがあります。49日はご家族が集まり、感謝とお別れを偲ぶ大切な時です。
年回忌法要早見表をご覧いただくと、今年のご法要日程がすぐに分かります。