【自分を知れば、世界が広がる】

私たちは日々、外の世界に向き合い、他者との関係や外部の出来事に心を奪われがちです。しかし、仏教ではまず「自分を知る」ことが大切だと説かれています。これは単に自分の長所や短所を知ることだけではなく、自分の内面にある感情や思考の流れ、価値観の根源を深く見つめることを指します。これを「内観」とも言います。たとえば、怒りや不安の原因を深く掘り下げると、そこには執着や誤った思い込みが潜んでいることに気づきます。この気づきが、心の偏見や狭い見方を解き放つきっかけとなるのです。

自己認識が進むと、他者を見る目も変わります。相手の言動や価値観を否定的に見るのではなく、「なぜそのように考えるのか」という理解へと心が向かいます。偏見や思い込みが薄れることで、私たちの心は柔軟さを持ち、他者への共感が生まれます。これが、仏教でいう「智慧」の働きです。智慧とは単なる知識ではなく、物事を正しく見る力です。そして、この智慧が育つと、私たちは新たな気づきを得て、世界を見る目が広がっていきます。

阿弥陀仏の教えにおいては、自分の「無明」(ものごとの真実を知らないこと)を知ることが、信仰の入り口です。無明を知ることで、「自分はまだまだ未熟である」という謙虚な心が育まれます。この謙虚さが他者への慈悲となり、世界との繋がりを豊かにしていくのです。

自分自身を見つめることは、時に苦しい作業かもしれません。しかし、そこから得られる新たな気づきは、私たちをより広い世界へと導いてくれます。外の世界に向かう前に、自分自身を見つめる時間を持ちましょう。それが、仏の教えに基づく「智慧と慈悲」の実践の第一歩です。

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この記事を書いた人

大阪府東大阪市の龍眞院(代表 小田昌良)です。浄土真宗本願寺派の僧侶として、関西一円でお葬式や法要を心を込めてお勤めしております。

ご縁をいただいた方々が、阿弥陀如来の大きな慈悲に包まれ、少しでも安心してご先祖供養に向き合っていただけるよう、日々精進しております。

このホームページでは、仏事に役立つ情報や仏教の教えを日常に活かす法話を発信しています。

またXでも法話を配信し、より多くの方に仏縁を結んでいただけるよう努めております。

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