
忍耐とは、苦しみをただ耐え忍ぶことではなく、それを乗り越える智慧を持つことです。
苦しみを受け止める力を培う
忍耐は、仏教において極めて重要な修行の一つです。「忍辱(にんにく)」として六波羅蜜に説かれ、苦難や試練に耐え、怒りや執着に囚われない心を養うことを意味します。単なる我慢ではなく、心の在り方を変え、苦しみを受け止める力を培うことが真の忍耐です。
お釈迦様がまだ修行者だった頃、様々な困難に遭遇しました。森での厳しい修行、他者からの侮辱、弟子たちの裏切り——それらを怒りや悲しみで返すことなく、すべてを受け入れ、慈悲の心で対応されました。その結果、真理を悟り、多くの人々を導く偉大な存在となられたのです。
現代に生きる私たちも、日々の生活の中で思い通りにならないことに直面します。仕事の悩み、人間関係の苦しみ、予期せぬ試練——これらに対し、「なぜ自分ばかりが」と嘆くのではなく、「この経験が私を成長させる」と受け止めることができたら、心の在り方が変わります。
忍耐とは、苦しみをただ耐え忍ぶことではなく、それを乗り越える智慧を持つことです。苦しみの向こうにある光を信じ、冷静な心を保つことで、やがて智慧と悟りへの道が開かれます。試練の中にこそ、自分を磨く機会があることを忘れず、今日も一歩ずつ前へ進んでいきましょう。
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は入仏慶讃法要のご縁でもお伝えすることがあります。ご先祖様をお迎えする仏壇には、丁寧な入仏慶讃法要が欠かせません。