
静けさを選ぶべきです
忍辱(にんにく)
仏教では「忍辱(にんにく)」の教えが説かれています。これは、怒りや憎しみを抑え、冷静さと忍耐を持つことが真の強さであるという教えです。怒りはまるで燃え広がる炎のように、自分自身をも焼き尽くしてしまいます。
怒りを感じたとき、私たちは「自分が正しい」と思い込み、相手を責めたり、傷つけたりすることがあります。しかし、その怒りに任せた言葉や行動は、やがて後悔という形で自分に返ってきます。お釈迦様は「怒りを抱く者は、熱した石を握りしめ、それを相手に投げつけようとする者のようなものだ」と説かれました。その石を握っている限り、自分自身の手も焼かれてしまうのです。
怒りの原因の多くは、思い通りにならないことへの執着や、自分の考えを絶対とする心にあります。しかし、世の中は自分の思い通りにならないもの。すべてを受け入れることで、心の平穏が訪れます。怒りが湧いたときこそ、一度深呼吸し、静けさを選ぶことが大切です。
仏教には「忍辱の鎧(にんにくのよろい)」という言葉があります。怒りを抑え、冷静に受け止めることは、まるで堅固な鎧を身にまとうようなもの。何を言われても、何が起こっても、その鎧があれば心を傷つけられることはありません。
怒りを鎮める方法の一つは、相手の視点に立って考えることです。「この人はなぜこういう言動をしたのだろう?」と冷静に考えるだけで、怒りはすっと消えていきます。また、怒りが湧いたときはすぐに反応せず、一晩寝かせることも効果的です。翌日になれば、怒りの感情は大きく和らいでいるでしょう。
静かな心は、人生を豊かにします。怒りの炎を手放し、穏やかに生きる道を選びましょう。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は四十九日法要のご縁でもお伝えすることがあります。49日はご家族が集まり、感謝とお別れを偲ぶ大切な時です。
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