
執着に気づいた瞬間、執着の力は弱まります。
空(くう)の心に近づく
私たちは、知らず知らずのうちに物事に執着し、こだわりを持って生きています。それは人間の自然な心の働きかもしれません。しかし、その執着が強くなると、かえって苦しみを生み出すことになります。例えば、「こうあるべきだ」「これが正しい」と思い込むことで、思い通りにならない現実に不満を抱いたり、怒りや悲しみが生じたりします。
仏教では、執着を手放すことが解脱への道とされています。「空(くう)」という教えは、すべてのものは固定された実体を持たず、移り変わるものであることを示しています。つまり、私たちの思いも、感情も、環境も、すべてが常に変化し続けるもの。ならば、それに執着すること自体が無意味なのです。
空(くう)の心を持つとは、ただ何も考えないということではありません。むしろ、物事をあるがままに受け入れ、偏見なく世界を見つめることを意味します。執着を手放した心は、まるで雲ひとつない青空のように広がり、どんな出来事も自然に受け入れる余裕が生まれます。たとえ嫌なことが起こっても、「こういうこともある」と受け止められるようになれば、怒りや悲しみが長く続くこともありません。
では、どのようにして執着を手放し、空(くう)の心に近づくことができるのでしょうか。その一つの方法が「気づき」です。自分の心の動きを客観的に観察し、「今、自分は何かに執着しているな」と気づくことが大切です。気づいた瞬間、執着の力は弱まります。例えば、誰かに嫌なことを言われたとき、「なぜ腹が立つのか?」と冷静に考えると、自分のプライドや期待に執着していたことに気づくかもしれません。その執着を手放せば、怒りも自然と消えていきます。
執着を手放した先に待っているのは、穏やかで寛大な心です。どんなことが起こっても、動じることなく、ありのままを受け入れる。そんな心こそ、仏の心に近づく第一歩ではないでしょうか。今日も少しずつ、「空(くう)」の境地に向かって、一緒に精進していきましょう。
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
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