
執着を強めれば強めるほど、望むものは離れていくのです。
固定観念が苦しみを生み出す
人は誰しも「こうあるべき」「これは正しい」と、自分の中に作り上げた固定観念に縛られて生きています。しかし、その固定観念こそが、強い執着の正体なのです。仏教の「空(くう)」の教えは、すべてのものは因縁によって成り立ち、決して変わらぬ実体はないと説きます。
けれど私たちは、その「無常の真理」に気づかず、「こうでなければならない」と強く握りしめてしまう。思い通りにいかない現実に直面したとき、その執着がそのまま苦しみとなり、心を乱します。まさに、固定観念が壊れた瞬間に、本当の苦しみが生まれるのです。
たとえば、手のひらいっぱいに掬った砂を強く握りしめると、指の隙間からこぼれ落ちてしまうように、執着を強めれば強めるほど、望むものは離れていくのです。
空(くう)の教えに目覚めたとき、私たちはようやく心の重荷を降ろし、軽やかに生きられるようになります。変わりゆく世の中だからこそ、今あるご縁や出会いに感謝し、執着から離れた心で、今日一日を大切に過ごしましょう。
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は四十九日法要のご縁でもお伝えすることがあります。故人が仏様の御国に往生される大切な節目が「四十九日法要」です。
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