
身体も感情も考えも、同じ形のまま留まることはありません。
五蘊は生まれては消える
仏教では、人間の存在を 五蘊(ごうん)という五つの要素の集まりとして説きます。
色(しき)は身体や物質、受(じゅ)は感じる心、想(そう)は思い浮かべるイメージ、行(ぎょう)は意志や衝動、識(しき)はそれらを認識する意識です。私たちは、この五つが集まったものを「自分そのもの」だと思い込み、守ろうとし、思い通りにしようとします。そこから不安や怒り、悲しみといった苦しみが生まれてきます。
しかし仏教は、この五つすべてが 空(くう)であると教えます。空とは、何も無いという意味ではなく、「固定した実体がない」「常に変化し続けている」という真実の姿です。身体も感情も考えも、同じ形のまま留まることはありません。昨日の気持ちが今日には変わっているように、五蘊は一瞬一瞬、生まれては消えています。
それを知らずに「これが私だ」「こうでなければならない」と握りしめると、変化する現実とのズレが苦しみになります。まるで水面に映る月をつかもうとして、もがいているようなものです。月は美しく映っていても、実際につかめるものではありません。
「五蘊皆空」とは、自分を否定する教えではありません。むしろ、「執着しなくていい」「無理に背負わなくていい」という大きな安心の教えです。自分だと思い込んでいたものが仮の姿だと気づいた時、心はふっと軽くなります。ありのままに生きる道が、静かに開かれていくのです。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
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