
過去を変えることはできません。しかし、今の心は整えることができます。
握りしめている心を緩める
「あの時こうしていればよかった」と思い続ける心。それを私たちは“過去の後悔”と呼びます。しかし仏教の視点から見ると、苦しみの原因は過去そのものではありません。そこにしがみついて離れられない“執着”こそが、今の苦(く)を生み出しているのです。
出来事はすでに因縁によって起こり、そして過ぎ去りました。無常の理の中で、同じ瞬間は二度と戻りません。それでも「変わってほしい」「やり直したい」と願い続ける心が、過去を燃えさかる炭のように抱え込んでしまいます。その炭は誰かを焼くのではなく、自分自身を内側から焼き尽くしていきます。
仏教では、苦の根本は我執にあると説かれます。「こうあるべきだった」という思いが強いほど、現実との隔たりに苦しみます。しかし、その出来事もまた縁起によって成り立った一つの流れでした。自分だけで起こしたものではなく、無数のご縁の中で生じたものです。
後悔に気づいたなら、自分を責める必要はありません。ただ「まだ握りしめている心」に静かに目を向けることです。合掌するように、力を抜いてみる。その一瞬が、執着をゆるめる第一歩となります。
手をゆるめるとは、忘れることでも、無かったことにすることでもありません。ただ、今この瞬間に心を戻すことです。正念をもって自分の呼吸を感じるとき、燃えさかっていた思いは次第に静まっていきます。
過去を変えることはできません。しかし、今の心は整えることができます。執着を手放したとき、苦は静まり、そこに安らぎが生まれます。それが、仏道の歩みの一つなのです。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は四十九日法要や初盆法要のご縁でもお伝えすることがあります。
ご家族が心を合わせて勤める大切な節目については四十九日法要ページを参照して下さい。
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