
すべては関係の中にあり、支え合いの中で成り立っています。
自分の力だけではない
「無自性」とは、この世のあらゆるものが、それ自体だけで独立して存在しているわけではない、という仏教の大切な教えです。
たとえば一輪の花も、土や水、太陽の光、風、季節、そして長い時間の積み重ねがあって、はじめて咲くことができます。花は「自分の力だけ」で咲いているのではありません。
私たち人間も同じです。命は親から受け継がれ、育てられ、支えられ、社会や多くの人との関わりの中で今を生きています。過去の出来事や出会い、別れ、喜びや苦しみ、そのすべてが重なり合って、今の自分が形づくられています。
それにもかかわらず、私たちはつい「これは自分のものだ」「自分が正しい」と思い込み、他人と比べたり、争ったりしてしまいます。
無自性を知るということは、「自分が無い」という否定ではありません。
むしろ、自分は多くの縁によって生かされている存在なのだと、静かに気づくことです。その気づきは、驕りや執着を和らげ、他者への思いやりを自然と育ててくれます。
すべては関係の中にあり、支え合いの中で成り立っている。
その事実に目を向けたとき、私たちの生き方は少し柔らかく、少し優しくなるのではないでしょうか。
今日という日を、そんな気づきとともに歩んでいきたいものです。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は入仏式や年忌法要のご縁でもお伝えすることがあります。
大阪府・京都府・兵庫県・奈良県での出張法要にお坊さんを派遣します