

何かを手放したからこそ、新たなご縁や気づきをいただくこともあるのです。
変化を受け入れながら生きる
私たちは不安が強くなると、「今持っているものを失うかもしれない」という思いに心を奪われてしまいます。
健康を失うかもしれない。仕事を失うかもしれない。大切な人との関係が変わってしまうかもしれない。財産や立場を失うかもしれない。
すると、まだ起きてもいないことに心が振り回され、今ここにある幸せを感じる余裕まで失ってしまうことがあります。
仏教では、このように「失いたくない」「ずっとこのままでいてほしい」と願い、強くしがみつく心を貪愛(とんない)といいます。
もちろん、大切なものを失いたくないと思うのは自然なことです。しかし、その思いが強くなりすぎると、かえって苦しみの原因となります。
例えば、手のひらいっぱいに荷物を抱えている人は、新しいものを受け取ることができません。心も同じです。失うことを恐れて握りしめるほど、心は窮屈になり、自由を失ってしまうのです。
私たちの人生には、自分の力だけではどうにもならない出来事が数多くあります。どれだけ大切にしていても、形あるものはいつか変化し、人とのご縁も姿を変えていきます。
仏教では、この世のすべては移り変わる諸行無常(しょぎょうむじょう)であると説かれています。
だからこそ、「失わないようにすること」だけに心を向けるのではなく、「変化を受け入れながら生きること」も大切なのでしょう。
振り返ってみると、過去に失ったと思っていた出来事が、新しい出会いや学びにつながっていた経験はないでしょうか。
その時は悲しくても、後になって「あの経験があったから今の自分がある」と思えることがあります。
人生は、何かを失うだけではありません。何かを手放したからこそ、新たなご縁や気づきをいただくこともあるのです。
失うことばかりを数えるのではなく、その出来事から何を受け取り、何を学べるのかに目を向けたいものですね。合掌🙏
「失うことを恐れる心が、今という尊い時間を曇らせてしまう。」
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は四十九日法要や祥月命日法要のご縁でもお伝えすることがあります。
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