仏教には「四顛倒(してんどう)」という教えがあります。これは、私たちが物事を誤って認識してしまう四つの迷いを指しています。「無常を常と思い、苦を楽と思い、無我を我と思い、不浄を浄と思う」というものです。たとえば、私たちは変化し続けるこの世界を、どこか永遠で不変だと感じてしまいます。人間関係や財産、健康などを「永続的なもの」として信じることで、それらを失ったときに大きな苦しみを感じるのです。また、快楽や安楽に執着し、それが真の幸福だと思い込むことで、心が縛られてしまいます。これが四顛倒による妄念です。
仏教では、この迷いを反転させることで真理を見つめることを教えています。それが「常楽我浄」の境地です。たとえば、無常であることを嘆くのではなく、無常であるからこそ変化を楽しみ、新たな可能性を見出すことができる。快楽の追求ではなく、静かな心の中に真の楽(幸福)を感じることができる。さらに、自分を「我(が)」という固定的な存在だと捉えるのではなく、すべての存在が因果の中で相互に支え合っていると理解する。そして、不浄と思われるこの世を浄らかな心で受け止め、そこに仏の慈悲を見出すのです。
日の出は、四顛倒の闇に光をもたらす象徴です。夜の暗闇に覆われていた世界が、朝日とともに新しい一日を迎えるように、私たちの心も日の出とともに妄念を手放し、真理を見つめる機会を得ることができます。明日の朝、日の出を眺めながら、移ろいゆくものの美しさを感じ、心に新しい光を取り入れる一日にしてみてはいかがでしょうか。それが仏の教えに気づく第一歩となるでしょう。合掌🙏