
幸せは奪い合うものではなく、分かち合うほどに増えていくものなのかもしれません。
四つの心を育てる教え
仏教には「慈悲喜捨(じひきしゃ)」という心のあり方があります。これは、すべての生きとし生けるものに対して、他者の幸せを願う「慈」、苦しみに寄り添う「悲」、共に喜ぶ「喜」、そして執着せず静かに見守る「捨」という四つの心を育てる教えです。
他人の幸せを願うことは、ただの優しさではありません。実は、自分の心を整える大切な修行でもあります。誰かの笑顔を見て、こちらまで温かい気持ちになるように、私たちの心はもともと他者と深く繋がっているのです。
人と比べたり、妬んだりすると、心はすぐに重くなります。しかし「どうか幸せでいてほしい」と祈ると、不思議と胸のつかえがほどけ、心が広がっていきます。その穏やかさが、巡り巡って自分自身の安心(あんじん)となって返ってくるのです。
たとえば、家族の健康を願うとき。友人の成功を喜ぶとき。道ですれ違った人の無事をそっと祈るとき。そんな小さな想いの積み重ねが、いつの間にか私たちの表情をやわらげ、言葉をやさしくし、周りの空気まで温かくしていきます。幸せは奪い合うものではなく、分かち合うほどに増えていくものなのかもしれません。
浄土真宗では、阿弥陀さまの大いなる慈悲に包まれて、すでに私たちは生かされています。その慈悲に気づくとき、自然と「自分だけでなく、みんなが救われてほしい」という願いが生まれてきます。それは無理に作る心ではなく、仏さまからいただく心なのです。
自分の幸せだけを求めると心は狭くなりますが、他者を想う心は、自然と仏さまの慈悲に近づいていきます。共に生き、共に喜ぶ。その歩みこそが、私たちを本当の幸福へと導いてくれるのです。
今日もどうか、誰かの幸せをそっと願う一日を。その祈りが、きっと自分自身の心もやさしく照らしてくれることでしょう。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は49日法要や遷仏法要・一周忌や三回忌など年忌法要のご縁でもお伝えすることがあります。
ご供養の中でも特に重んじられるのが49日です。
ご家庭の事情で仏壇を移される際には「遷仏法要」が大切です。
日々の感謝の心を形に表す場としての年忌法要。[年忌法要ページ]を参照ください。