
同じ過去を見つめる行為でも、そこに向ける心のあり方によって、重荷にも支えにも変わっていきます。
後悔と振り返ることの違い
古い手帳を開くと、消えかけた文字や、かすれたインクの中に、その時の想いや出来事が静かによみがえってきます。あの頃の自分が何を感じ、どんな日々を過ごしていたのかが、はっきりと思い出されることもあります。
同じように、スマホに残っている写真や何気ない文章、古いメールを見返すと、その時の空気や心の動きが自然とよみがえってきます。
上手くいかなかった日、悩んで立ち止まった日、思うように進めなかった日々も、すべてが自分の歩んできた大切な軌跡です。私たちはつい、過去を思い出すと「あの時こうしていればよかった」と後悔の気持ちにとらわれがちです。
しかし後悔とは、過去の自分を責め続ける心のはたらきです。一方で振り返るということは、「あの時の自分も、その時なりに精一杯やっていた」と受け止めることです。
同じ過去を見つめる行為でも、そこに向ける心のあり方によって、重荷にも支えにも変わっていきます。仏教では、自分の歩んできた道のすべてが、今の自分を形づくる大切なご縁であると教えられます。消えかけた文字も、色褪せた写真も、そこに刻まれているのは確かに生きてきた証です。
私たちはつい、きれいに残っている思い出だけを大切にしがちですが、うまくいかなかった記憶の中にも、今の自分を支えてくれている大切な学びが隠れています。その一つ一つに気づいたとき、過去はただの出来事ではなく、自分を育ててくれた尊い時間であったと感じられるのではないでしょうか。
振り返ることは後悔ではなく、自分を受け入れるご縁です。その振り返りが、これからの自分の在り方を優しく照らしてくれるのかもしれません。今日という一日も、やがてかけがえのない一頁として、未来の自分に語りかけてくれることでしょう。合掌🙏
「この記事は、浄土真宗本願寺派 龍眞院『お坊さん@出張®』がお届けしました。」
この法話は四十九日法要や一周忌法要などの年忌法要のご縁でもお伝えすることがあります。
49日はご家族が集まり、感謝とお別れを偲ぶ大切な時です。
亡き方を偲ぶ心は、自然と年忌法要にも表れていきます。詳しくは[年忌法要ページ]をご参照ください。
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